UHK向け「Riser 60」で分割キーボードのテンティング問題が解決
Ultimate Hacking Keyboard(以下、UHK)のオプションパーツである「Riser 60」を購入しました。分割キーボードUHKでいわゆるテンティングをするためのものです。
- そもそもテンティングとは
- Riser 60の概要
- Riser 60の取り付け
- テンティングの角度をどうするか
- Riser 60の良いところ
- Riser 60で不満に感じるところ
- 長年求めてきたテンティングが実現
1.そもそもテンティングとは
ここで言う「テンティング」とは、下の写真のようにキーボードを立てることを意味します。
なぜこんなことをやるのかというと、「腕や手首を自然な角度のままキーボードを使えるようにする」ためです。
真っ平らなキーボードで長時間入力を行うと、腱鞘炎、肩こり、ひどいと五十肩などの原因になってしまいます。自然な角度に調整しやすくする重要な要素が「分割キーボード」もしくは「左右分離型キーボード」です。近年ようやく広く認知されるようになり、日本語では「分割キーボード」という呼ぶことが多いように見受けられます。
キーボードを左右に分け離れた状態にすると、それだけでまず猫背のようになるのを回避できます。これだけでも大きな効果を期待できますが、手首がひねられた状態を回避するには相当左右に離さないといけません。体格にもよりますが50~60cmほど離すと、腕を自然に置いた状態で手首に負担をかけずタイピング可能です。
参考:長時間キーボードを使い腱鞘炎の人は左右分離型キーボードがお勧め
とはいえ椅子の肘掛け等とのバランスを考えるともう少し狭い幅に収めたいという人がほとんどだと思います。私もそうです。広いデスクトップ(机の天板)を使ってはいますが、どうしても物が増えるので。
幅を狭めると、手首の角度は水平ではなく内側が少し上を向けた方が楽というか自然な状態だと思います。そのためUHKにももともとテンティング可能な脚が付属しています(もしかするとパームレストに付属かもしれませんが)。
ところがこの脚では大した角度を付けることができません。
試行錯誤したもののなかなか良い解決策がなく、私は間に合わせの脚(というか台?)の上にキーボードを置くことでテンティングを実現していました。
見栄えが悪いのは置いておいたとしても、キーボードを動かすたびに脚も動かすことになるためかなり不便でした。
そこへ登場したのが公式のRiserです(なんと発売されたことに1年近く?気づいていませんでした)。私のUHK60向けにはRiser 60というものが販売されています。
2.Riser 60の概要
Rise 60は公式サイトに書かれているように、パームレストとセットで使うように設計されており、キーボードの傾きを10~60度まで5度刻みで設定できます。完全に閉じてしまえばフラットな状態になります。
UHKの販売基は配送にDHL Expressしか使わないのだそうで、ネットで決済してから1週間で手元に届きました。
この黒いパーツが開閉するようになっています。それを取り付けるネジは2本しか入っていません。片側だけで3本必要ですが、残り2本はパームレストに付いているものを使い回します。パームレストとセットで使う想定なので無駄な物は入っていません。
脚を固定するパーツは底面にネジ止めされています。隣接する穴同士でテンティングに5度の差が生まれます。購入時は15度に設定されていますが、15度程度だったらおそらくRiserは不要でしょう。角度を変える際にはドライバーが必須なので調整は少々面倒です。
3.Riser 60の取り付け
テンティングの角度を調整する際にはドライバーが必要ですが、Riserをキーボードの底面に取り付ける際にはドライバーは不要です。
下の写真にあるように3箇所をネジ止めします。ネジは手で回せるようになっているというか、ネジ山がないので指かラジオペンチで回すしかありません。
上の写真と比較し右手用と左手用が入れ替わっていますが、下の写真はRiser 60を3本のネジで取り付けた後の様子です。
この取り付けは意外と面倒でした。なぜならキーボードを有効にしたまま取り付けようとしたからです。完全に裏返しにして置けば良かったのですが、それではキーが押されてしまうので、中途半端に立てた状態で作業した結果、ものすごくやりづらいことになりました。
取り付けの際はUSBを外すなりしてキーボードを一時無効にしておくことをお勧めします。
UHKは左右で構造が違うので、取り付け具合も異なります。この点も少々注意が必要ですが、一度しか行わない作業なので特に問題ないと思います。
4.テンティングの角度をどうするか
一番重要なテンティングの角度をどうするかという問題ですが、実は私にはある程度の目安がありました。
これくらいの高さにしたら良いであろうという感触を得た時点で3Dプリンターで脚を自作し、仮に使ってみていたことがあります。
上の方で紹介した黒い自作脚よりも角度は急です。安定感がいまいちというか、キーボードの位置を微調整するのが面倒になり使わなくなりましたが、本当はこれくらいかそれ以上の角度が欲しかったのです。
測ってみたところこの自作脚でテンティングした時の角度が約35度です。そこで35度と40度で試してみました。
すると40度ではパームレストに置いた手が滑り落ちる感覚があり、実用的でないと判断しました。というわけで角度はあっさりと35度で決定です。
ちなみにRiser60の角度を変えるためのパーツは、スペアパーツも販売されています。私は何のことかわからず注文しませんでしたが、実はスペアを取り付けておけば、たとえば15度と40度、のように2つの角度を簡単に行ったり来たりできるのです。
これを知った時にはしまったと思いましたが、よく考えてみると隣接する角度、特に15~30度あたりは穴が隣接しているため、2つのパーツを同時に取り付けておくことは不可能です。ということで結果的にはスペアパーツを購入しなくて良かったかもしれません。
余談ですが、ネジ穴は開けられているので、適当なボルトとナットを用意すればそこに脚を引っかけて使えそうです。複数の角度を行ったり来たりしたくなったら試してみるかもしれません。
5.Riser 60の良いところ
あまりにも待ちわびたパーツだったので勢いでこの記事を書きましたが。実はまだ使い始めて1日程度です。
嬉しさがピークに達しているので今の使用感を書いてもあまり意味はないかもしれませんが、かなり良いです。
良いと思うところを挙げると・・・
作りがしっかりしている
中の脚は多少細い感じがしますが、全体が金属なのは安心です。
開閉が自由なので持ち運びの際も邪魔にならない
実は今年は半年間ほど2拠点生活(数ヶ月ほどは3拠点)をしていたのでUHKを持ち運ぶ機会が多かったのです。移動のたびに自作の脚も忘れないように持ち歩くのは結構面倒でした。
Riser 60なら「脚だけ忘れた」ということが起こりえないので、本当にもっと早く欲しかったです。
底面の脚も滑らず良い感じ
3Dプリンタで自作した脚の欠点の1つが滑りやすさでした。滑り止めを貼り付けたもののイマイチで、使わなくなった理由の1つです。Riser 60は安定しています。
角度を5度刻みで変更できる
自分に合う角度は人によってかなり違うと思うので、やはりこれが一番大きいと思います。
全体的に充分な出来だと思います。Riser 60が不要という人が居るとしたら、おそらくその人にはテンティング自体が不要なのだと思います。
6.Riser 60で不満に感じるところ
とはいえ不満もあります。
高い
文字通り高価という意味です。だからといって買わないという選択肢は無いのですが、もう少し安いと嬉しかったです。90ドルと送料39ドルで129ドルです。現在(2024年11月)のレートだと約2万円でしょうか。キーボードの脚だけで2万円というのはなかなかです。
そもそも標準で欲しいパーツだった
UHKは全体的に開発から販売までに時間がかかるので慣れてはきましたが、やはり簡易版でも良いので最初から欲しい機構でした。これがあるのとないのとでは雲泥の差です。最初から付属していれば余計な送料も要らなかったとか、まぁ愚痴です。
急な角度では事実上使い物にならない
上でも書きましたが、45度などにすると手がパームレストからずりおちます。せっかく50度や60度にできても手の位置を維持するのに力を使うようならパームレストの意味がないので、急角度の際にもパームを支えてくれるようなパームレストなり追加のパーツなりがあると良いのになぁと思いました。
それ以外には不満と言えるほどの不満はありません。まだ使い込んでいないので、今後何か気づいたことがあればまた書きます。
7.長年求めてきたテンティングが実現
不満も書きましたが、テンティングしやすい分割キーボードでタイピングという長年求めてきたことが実現しました。
正直なところ費用はかかったなぁと思いますが、私がUHK本体を購入した際はもっと円高だったのでまぁ良しとします。ただし今なら必要なものをまとめて購入できるので、その分送料がかからないから良いかもしれません。
とにかく現時点では本当に満足度が高いです。
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